4月12日は東京大学の創立記念日で入学式も毎年行われているようです。場所は武道館なのですね。
今年の入学式の様子もTwitterなどで話題になり、私も今日が入学式であることを知りました。入学された方、おめでとうございます。
そして、特に今年注目を集めたのが、上野千鶴子氏の祝辞です。私も全文読みましたが本当に素晴らしい祝辞でこのような話が入学式から聞ける東京大学の学生は本当に幸せだと思います。
できればこういう大学に通わせたいな~
とても素晴らしい内容なので、せっかくこのようなブログを立ち上げたこともあり記事にしてみました。
2019年東京大学入学式上野千鶴子氏祝辞
全文はこちらで読むことができます。
祝辞の中から私が気になった点を紹介しますね。
女子学生が置かれている現実
いきなり女子学生の話から始まり度肝を抜かれました。だって、今年の東大合格者の女子率は約18%。おそらく東大内でも問題になっていたはず。そこに切り込んでくるなんて。
不正入試と女子が置かれている状況
が、しかし、昨年、東京医科大不正入試問題が発覚し、女子学生と浪人生に差別があることが判明しました。
これには驚きましたね。他大学の不正入試の話を持ってくるなんて。数字を正確に読み解く力の大切さと、恣意的に女子が不当に不合格にされていることを話しています。
昨今の統計問題も皮肉っているようにも思えました。
東大入学後の女子を待ち受ける現実
なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。
東大男子が胸を張って自分の大学を言えるの対し、東大生であることをごまかしてしまう女子。容易に想像がつきますね。その理由も。
東大女子が入れないサークルが東大内にあるという話は有名ですね。他の有名大学でもよくある話です。
女子が期待されるのは「有能さ」ではなく「かわいさ」です。そこで、一部のサークルでは「かわいさ」を求めるあまり有能な東大女子を排除するのですね。よく考えるとひどい話です。
東大男子学生の意識
東大工学部と大学院の男子学生5人が、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件がありました。加害者の男子学生は3人が退学、2人が停学処分を受けました。この事件をモデルにして姫野カオルコさんという作家が『彼女は頭が悪いから』という小説を書き、昨年それをテーマに学内でシンポジウムが開かれました。「彼女は頭が悪いから」というのは、取り調べの過程で、実際に加害者の男子学生が口にしたコトバだそうです。
この事件はショックでしたね。「彼女は頭が悪いから」の本も存在は知っていましたが読むのが怖くてまだ読めていません。近いうちに読みたいと思います。
入学式に東大の汚点ともいえるこの事件の話をした意味を東大生の皆さんには考えて欲しいですね。(もちろん東大生以外にも)
女性学のパイオニアとして
私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。なかったから、作りました。
上野氏は女性学のパイオニアなんですね。(無知ですみません)
今までなかった学問を創り出し研究するパイオニア精神に触れ、それにひつようなものとして「あくことなき好奇心と、社会の不公正に対する怒り」をあげています。
変化と多様性に開かれた大学
東京大学は変化と多様性に拓かれた大学です。わたしのような者を採用し、この場に立たせたことがその証です。
冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。
素晴らしいですね。何度でも読み返したいと思います。
今、ここにいられるのは環境のおかげだと感謝し、東京大学で学んだことをぜひ社会に還元してほしい。私も切に思います。
そして、自分の弱さを認め、支え合って生きていくというも大事ですね。自分を守るためにも特別な存在だという傲慢さを捨て、相手を尊重しながら生きていって欲しいですね。
東京大学で学ぶ価値
学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。
なるほど。地方の東大へ進学する生徒などほとんどいない自称進学校出身の学生も多様性のためにいてもいいですよね(笑)
東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。
ここ、だいじですね。
息子が東大に入ったらいいなとは思うのですが、その権威にすがるような生き方は絶対にして欲しくないです。
東大ブランドではなく東大だからこその知を身につけてほしいですね。
まとめ
私自身は東大に縁もゆかりもないのですが、それでもこの祝辞には胸を打たれました。
これからの時代を生きる若者にはぜひ読んで欲しいですね。
個人的には今後は東大ブランドだけでどうにかなる時代は終わると思います。しかし、そこで身に着けた「知を生み出す知」は一生の助けになるでしょう。
東大に期待しすぎかな?
でも、この祝辞を読むとやっぱり期待してしまうんですよね。そして、息子が望むならぜひ入学してほしいわ~。
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